
現在、宮崎大学教育学部数学科3年の納富崇(のうとみ たかし)さん。ガクセイ塾の代表として、日々メンバーを率いて、子どもの貧困解決に向けて奮闘している。
日々業務に追われながらも大変そうな素振りひとつ見せず、どこか楽しそうに活動している。そんな彼のことを見ていると、誰もが何事にも動じない屈強な精神を持つ人物だと思うだろう。それは半分正解で半分不正解だ。
今回のインタビューではガクセイ塾代表の素顔に迫った。
納富崇という人間
プロフィール
1999年7月29日生まれ。福岡県大野城市で少年時代を過ごす。最近の趣味はカメラ、読書、バレーボール、革製品を磨くこと。特に靴磨きは人の靴を見て、手入れされているかどうか分かるほど。特技は画像・動画編集、web制作。帰省すると毎回食べるほどのラーメン好き。
なぜ宮崎へ来たのか

少年時代は福岡で過ごし、大学進学を機に宮崎にやってきた納富。
バレーの特待で高校に進学。厳しい練習に打ち込み、3年時にはバレーボール部のキャプテンを務めた。
進路選択を考える時期、当初指定校推薦で地元の私立大学への進学を考えていたと話す。しかし結果、猛勉強の末、宮崎大学へ。そんな彼は一体なぜ、宮崎へ来たのか。
それは、高校時代のある恩師の一言から始まった。
「お前それでいいんか?」
その言葉をきっかけに進路について本気で考え始めた。
部活終わりの21時から塾に通うため、お弁当にして持って行かせてくれと寮の人に頭を下げたり、3年になると寮をやめ、自宅から1時間半かけて塾に通ったりという日々を送っていたことを笑顔で話してくれた。
「その先生のマインドや人を見る目は、ほんとにすごいんよ。」
今でも、尊敬している人という質問で真っ先に名前が挙がる“その先生”との出会いが彼を宮崎へと運んできてくれた。
塾をはじめたきっかけ

そんな彼は今、宮崎大学で「ガクセイ塾」を立ち上げ、代表としてメンバーを引っ張っている。
ガクセイ塾立ち上げ当初から変わらずに話していること。
「親の収入の差で学力の差が出るのはおかしい」
筆者がガクセイ塾の一員として活動したいと思い、初めてお話を聞いたときからずっと変わらずにこのことを話している。
言われたらたしかにそうだ、でも普段の生活の中でこの気持ちを抱くことはなかなか難しい。
今回インタビューするまでは、塾をはじめるという行動にまで移せる原動力がどこから来るのか、全く分かっていなかった。今回語ってくれた部活動や勉強に本気で打ち込んだ経験、恩師の言葉、何事にも挑戦する前向きな姿勢。
今の彼を形成しているものが少し明らかになったような気がする。
不屈の精神はどのようにつくられるのか

今回の取材で筆者が一番驚いたのは、「これまで大変だったことは?」と聞いた時であった。
頭をひねらせて考えた末、
「ない!後から振り返ると全部楽しかったわ!楽しいことしかない!!」
人間として生きている限り、日々つらいことや大変なことは尽きない。それは誰しも同じはずだ。
誰にでも言えることではない。彼の不屈の精神に圧倒されてしまった。
そんな屈強なメンタルはどのようにできあがっているのか。
今回のインタビューでわかったいくつかの“屈強メンタルの成分”をここでご紹介。
◎好きな本
『死ぬこと以外かすり傷』
箕輪厚介
『ゴミ人間』
西野亮廣
◎好きな映画
『海賊と呼ばれた男』
主演:岡田准一
◎好きな曲
『PRYING RUN』
UVERworld
『革命』
MOROHA
前に踏み出す原動力
彼の“好きなもの”を知って、もうひとつわかったことがある。
それは、彼は何も怖くないとか、何にでも勝てると思っているわけではない。
「毎日ガクガク震えながらやってるもん」
大変なこと、くじけそうなこと、本当にできるのか不安になること、迷うこと、怖いこと。そんな思いを抱えながらも彼は、恐怖や不安を前に踏み出すエネルギーに替えている。
中高生に伝えたいこと

最初の一歩を踏み出すことは誰だって怖い。でも一歩踏み出した先の世界は、今いるところからは想像もできないくらい輝いているかもしれない。それはすべて、やってみないと分からない。
どんな時も自分を信じて、何度でも挑戦する。たとえ、がむしゃらに進む道の先で失敗することがあっても、すべてが明るい未来につながっている。今日も前を向いて、目の前のことに全力で取り組もう。いつか無駄なんてひとつもなかったと、全部楽しかったと笑えるように。
恐怖や不安は前に進む力に替えられる。今後の彼の快進撃にも目が離せない。