「誰よりもバカでいよう」学生起業家が中高生に伝えたいこと

2021年6月26日
記事

現在、宮崎大学工学部電子物理学科3年の藤島旺志さん(以下、藤島)。大学生をしながらmcs.LinkというIT企業の社長もしている。

九州の規模で行われたビジネスプランコンテストでも3位をとるという、いま宮崎で一番勢いのある学生の1人である彼にインタビューをさせてもらった。

彼には、たくさん挑戦をしてどんな困難をも乗り越えることができるマインドがあった。今回はそんな彼のマインドと彼が中高生に伝えたいことを紹介していく。

藤島旺志という人間

プロフィール

2000年12月24日生まれ。広島県福山市出身。小中高は地元で過ごし、大学進学を機に宮崎へと移住。小学校からソフトボールを始め、中学高校では野球部に所属。大学では再びソフトボールを始め、現在宮崎大学ソフトボール部の副主将を務める。趣味は野球と料理とサウナ。1番の得意料理は豚の角煮。

障がい児童福祉支援施設でのアルバイト経験を基に、大学2年時にmsc.Link(障がい児童福祉施設向け福祉業務サポートアプリの開発事業)を立ち上げる。

学生時代は朝から晩まで野球と向き合い続け、実家の空き部屋を自分たちでDIYし、室内トレーニング場に作り替えるほど。この時からかなり真面目で、一才妥協したことが無いのだという。

将来の夢

小学校時代の将来の夢は少年時代に一緒に野球をしていた仲良い友達と、プロ野球でバッテリーを組むこと。
その後、中学時代は将来何をしていいのか分からない時期があったのだが、高校で恩師との出会いを通じて教師になることを決心。その夢は現在でも変わらず、隙間時間で教員採用試験の勉強を続けている。

尊敬している人

尊敬している人を聞いてみたところ、彼は2人の高校の先生だと答えた。

1人目は、高校の野球部の監督だという。
この先生は、寡黙なタイプの先生で、誰よりも真剣に生徒に向き合っていたのだと教えてくれた。
誰よりも1番野球グラウンドに来て、口でものを言うより行動で示すタイプの先生だったと。
この先生の行動から愛情が伝わってくるところを藤島は尊敬していると話していた。

2人目は、学年主任の先生。
こちらの先生は、先程の野球部の監督の先生とは違い「〜できてないぞ。」と言うような、いわゆる口うるさい先生だったと話していた。卒業式の前日にも藤島はかなり怒られたらしく、当時は“なぜ、卒業式前日まで怒られなければならないのか”と感じていたらしいが、卒業後に改めて考えてみると、“最後まで生徒のことをよくしてあげたい。”という先生の想いがあってこその指導だと気づき、藤島自身もこのような先生になりたいと話していた。

学生起業家としての顔

彼がどのような人間なのかを簡単に紹介させてもらったが、ここからはそんな藤島の学生起業家としての顔を紹介する。

左:金子(ガクセイ塾) 右:藤島

障がい福祉支援施設でのアルバイト

彼の目標である高校の教師になること。しかし、彼は普通の“高校の教師”にはなりたくないのだと話してくれた。「学校の先生は社会のことをよく知らない」などと、よく言われている世の中で、彼は子どもたちにたくさんの人生観を話すことのできる教師になりたいと。そのためにも、学生時代からあまり経験できないことを普段から探し求めるようになった。そんな中で、大学1年時に障がい福祉支援施設でのアルバイトを始めた。元々子ども好きで子どもたちのために何かできないか考えている中で、このアルバイトは彼にピッタリとハマった。

アルバイトをする中であることに気づく

障がい福祉支援施設でのアルバイトを始めてしばらく経った頃、彼は現場のある問題点に気づいた。

施設の職員さんは事務所での業務が非常に多く、子どもたちと接する時間が少なくなってしまっている。

この問題を解決し、現場の職員さんが子どもたちと接することのできる時間をどうにか増やすことができないだろうか。彼は考えた挙句、書類業務をもっとスマートに行えるような障がい児童福祉施設向け業務サポートアプリを開発しようと決めた。

障がい児童福祉施設向け業務サポートアプリ

アプリの開発のために、仲間たちと現地調査・必要な機能の分析を行い、彼はその中でも仕様書の作成であったり、営業であったり、仲間たちをまとめたりして日々奮闘中だ。アプリが公開されたら是非とも筆者にも教えていただきたい。

やっておけばよかったこと

「少し前までは、何事に関しても消極的だった」と話してくれた。インタビューをしていた筆者は、まさか彼から「消極的だった」という言葉を聞くことはないと思っていたのでかなり驚いた。そして、本人曰く大学入学当初は遊びすぎたのだと。

「もちろん自分の趣味の時間や休憩の時間、友達と遊ぶ時間も大切ですが、それと同じくらい自分の価値を上げることができることに積極的に挑戦することも大切で、それは中高生の時からやっておけばよかったと思いますね。」

学校生活は忙しいと思う。しかし、社会に出るとそれ以上に忙しくなってしまう。今も自分の好きなことやおもしろそうなことをやる時には、どうにかして時間を作っているが、中高生の時の方が時間は確実に作りやすい。そのため、“今”を大事に自分の価値を上げることができるものに挑戦して欲しい。

中高生へのメッセージ

何か行動するときに「できる」のか「できない」のかが頭の中をよぎることがあると思います。いろんなことを学べば学ぶほどこれは考えてしまうことです。そんな時に、多くの人たちは「行動しない」という選択肢を取ってしまいます。しかし、それはかなりもったいないです。

まずは誰よりもバカでいましょう。

そうすることで、「できるのかできないのか」という判断基準から「やるかやらないのか」の判断基準にシフトチェンジすることができます。たとえ、何か行動してうまくいかなかったとしても、それは失敗ではなく成長です。できるのかできないのかを考えている時間がもったいないので、まずは何にもとらわれずに興味のあること・面白そうだと思うことに目を向けてほしいです。

このように語ってくれた彼は、自身の会社でも「おもしろそう」だと思うことはとりあえずやってみるらしい。

「誰よりもバカになってみると、誰よりも失敗なんて怖くないんですよ」

こう語ってくれた彼の今後の挑戦に注目だ。