
今回インタビューを行ったのは、宮崎県にある東臼杵郡市畜産農業協同組合連合会に勤めている金丸紘斗さん。主な仕事として牛の競り市の運営や和牛の登録業務を行っている。
目次
金丸紘斗さんについて
プロフィール
宮崎大学農学部畜産草地化学科出身。 子供のころから動物が大好きで、中学生の時に飼っていたペットの死をきっかけに獣医を目指す。大学は獣医学部ではないが同じように動物にたくさん関われる学部を選んだそうだ。金丸さんがこの職業についたきっかけは、学生時代に家畜の競りのアルバイトをしていたことだ。そのときの経験があり、なおかつ延岡の畜連が一番温かみがあり自分に合っている職場であると感じ今の職場で働くことを決めた。

宮崎牛について
宮崎牛(みやざきぎゅう)とは、宮崎県内で生まれ育った最長飼養地が宮崎県の黒毛和牛のことである。それに加え(公社)日本食肉格付協会が定める基準の肉質等級が5等級及び4等級で、県内種雄牛、もしくは家畜改良のために指定された種雄牛を一大祖に持つものを指す。地域ブランドの1つであり、地域団体商標に登録済みだ。 また、宮崎牛は松阪牛などの有名な黒毛和牛のルーツにもなっている。県内にも宮崎牛を楽しめる飲食店が数多く存在している。例えば鉄板焼きなどで有名なミヤチクでは肉厚なステーキを楽しむことができる。
畜連では宮崎牛の子牛や成牛等を取り扱っており、生産者の方々は自分が育てた牛を高く評価してもらえるように努力している。

畜連の仕事内容について
競り市って何?
畜連のメインの仕事になるのが家畜の競り市の運営だ。競り市とは、牛や馬、豚、やぎ、羊などの家畜を取引する市場だ。ここでは、家畜を売りたい人と買いたい人が集まり、せりや入札によって公正な価格で家畜の取引が行われている。
市場での売買は、出品された家畜に参加者が値段を付け、最も高い値段を付けた人が落札する。参加できるのは家畜商の免許を受けた人だけだ。家畜の取引を専門に行う家畜商をはじめ、家畜の繁殖を手掛ける農家や肥育を行う農家、食肉業や加工業を営む人など家畜を扱う専門家ばかり。市場では1頭1頭が家畜業の厳しい目で判断され、適正な価格の形成と公正な取引が行われている。

その他の業務
メインの仕事は競り市の運営だが、その他にも幅広い分野で牛に関する仕事を行っている。
例えば、牛が県をまたいで移動する時に、病気にかかることを防ぐワクチンを打つ指示をする業務、競り終わった牛をトラックに積む作業がある。他にも和牛の登録業務や牛の検査業務の指導がある。

金丸さんが想う畜連の仕事
金丸さんはこの仕事において「業務の改善」をしている時が楽しいと話していた。畜産業は機械化があまり進んでいないため、『わからないときはググれ』をモットーに日々試行錯誤を繰り返している。機械化が進んでいないといっても、データや数字の取り扱いができる人の方が仕事がはかどるそうだ。
※ググれ…Google を使って検索すること。
しかし機械化が進んでいないということは、何か問題点が見つかり、その解決方法を考えようとする際に調べ方が異なると入る情報も異なってしまうということでもある。いつも同じ答えが出せるとは限らないことが苦労したそうだ。
それとは対照的にやりがいを感じたところもある。それは自身が業界での新しい事業の中心人物になれていることだ。それはBL検査と呼ばれる牛伝染性白血病の検査は始まったばかりの事業だそうだ。業界での規模が小さいうちから、新規事業に関われることは光栄であると嬉しそうに話していた。
宮崎大学の学生が想う畜連の仕事
また宮崎大学畜産草地化学科に所属している学生にもインタビューを行った。彼女は今回初めて畜連でアルバイトを行い、牛の競りを体験した。
畜連では牛の生態や競りの仕事内容を詳しく知ることができ、大学で学ぶ内容と繋がる部分が多く面白かったと話していた。一方で牛をトラックに詰める作業では牛のことをきちんと理解しておらず、牛に足を踏まれて大変だったそうだ。
もともと愛玩動物に興味を持っていた彼女だが、これをきっかけに牛をはじめとする大型動物にも興味が出て、視野が広がったと話していた。

金丸さんが学生に伝えたいこと
中高生に向けてのメッセージ
金丸さんにこの質問を投げかけると何度も「勉強」という言葉が返ってきた。特に数字を扱う仕事が多く、できないと仕事で苦労すると話していた。畜産関係の仕事に興味を持った人は図書館やインターネットで調べてみると将来のイメージが付きやすくなるかもしれません。
勉強をすることはもちろん、何事も経験・挑戦することが大事。金丸さんは中学3年の時に担任の先生にもらった漢字の『吸』がきっかけになり挑戦していく意識がついたそうだ。やってみないと自分に合うか合わないかはわからないので、どんどん意欲を持っていけるといいですね。